古物商許可の申請にあたっては、営業所ごとに古物商の管理者の設置が求められます。
この管理者というのは、古物営業が適法に行われるため、また警察署との窓口になるための、営業所責任者のような立場になります。
「管理者って、何だろう」「どんな人が管理者になれるのだろう」と、これから古物商許可を取得する際にはちょっと気になってしまう地位ですが、この管理者について最低限押さえておきたい知識を以下でご説明します。
古物商許可の「管理者」の設置
まず古物商の管理者ですが、許可を取得する営業所ごとに設置することが義務づけられています。したがって複数の営業所で古物商を営む場合には、複数の管理者を設置しなければなりません。
個人事業など、一人で古物商許可を取得して営業するという場合には、申請者本人が管理者を兼ねることができますので、別にもう一人従業員がいる必要は通常必要ありません。
一方、法人(会社)のいくつもの営業所で一度に古物商許可の申請を行う場合は、営業所ごとに常勤の古物商の管理者を指定する必要が出てきます。既にチェーン展開などする事業者が、新たに中古品を取り扱ったり、商品の買い取りを始めるときなども、このケースにあたります。
古物商許可の取得後に管理者が変更になるときは、古物商許可の変更届を提出しなければなりませんから、事後のことを考えて各営業所の管理者の人選を行っておくほうがよいでしょう。
管理者の欠格要件
法令上、以下のような欠格要件に該当する人は、古物商の管理者になることができません。
- 未成年者
- 成年被後見人
- 被保佐人
- 破産者で復権を得ないもの
- 一定の刑に処せられてから5年を経過しない者
- 住居の定まらない者
- 古物営業法第24条の規定により古物営業の許可取り消されてから5年を経過しない者
古物商の管理者に必要とされる知識や経験
管理者は、その営業所の業務を適正に実施するための責任者ですから、古物営業や古物に関する知識・経験を求められます。
特に古美術品や宝石、車などを取扱品目として古物商許可の申請を行う場合は、警察署担当者から管理者の知識や経験を質問されることが多くあります。
どの程度の知識が必要とされるかは、施行規則の規定などからもある程度判断が可能です。
たとえば自動車であれば、不正品の疑いがあったり、車体番号に改造や怪しい部分があったりするとき、それを見抜けるだけの知識・経験が必要とされます。おおよそ、これらを取り扱う古物営業の業務経験が3年以上ある人が有する知識と同程度の知識を有しているかどうかで判断されます。
古物商の管理者は、こういった知識を得られるよう、古物や盗品防止等に関する講習に出るなど技術・経験を積む努力を求められます。
中古品の売買経験がほとんどない状態で、個人事業として古物商許可を取得しようというケースでは、誰か古物の営業に詳しい知人、その取扱品目の取引経験が豊富な知人などがいれば、その人からサポートが受けられるような体制を作ってから申請するほうがよいでしょう。