中古品を海外から輸入するとき、逆に海外へ輸出するとき、あらかじめ古物商許可の取得が必要ではないかと思われる方も多いと思います。
この点、輸出するのか輸入するのか、輸入するとして直接なのか間接なのかなどにより、要否が変わってきます。
古物商許可と中古品輸出入の4つのパターン
古物商許可と中古品の輸出入については、主に4つのパターンがあります。以下ではそれぞれ、パターンに分けて説明していきます。
1.海外で買い付けた中古品を日本国内で販売する場合
自ら海外へ直接に足を運んで、現地で買い付けた中古品を持ち帰るなどして日本国内で販売するという場合、古物商許可は受ける必要がありません。
お金を払う時点で相手の業者が日本国内に存在しないので、日本の法律や警察とは関係がない、というイメージで考えるとわかりやすいでしょう。
2.日本国内の輸入業者が輸入した中古品を買取・販売する場合
日本国内の輸入業者が海外から輸入した中古品を、さらにその輸入業者から買い取ったり販売したりする場合、古物商許可を予め取得しておかなければなりません。
これは、中古品を買い取る時点で相手が日本国内の業者であるため、日本の法律が適用されるというイメージでとらえてください。日本の業者から中古品を仕入れてそれを販売するわけですから、一般的な古物商と変わらない業態になります。
3.日本国内から、海外の業者に発注して中古品を輸入した場合
このパターンは、中古品を買い取る際に相手が外国の業者となるため、原則、古物商許可は不要と考えられます。もっとも、海外の業者から中古品を直接日本に仕入れる場合、管轄警察署によっては判断に迷われることも多々あります。
そのため、まずは古物商を営業する予定の管轄警察署(または行政書士)に業態や取引の内容をしっかりと相談し、絶対に古物商許可は不要という判断がなされたとき以外は、法律的には不要であるとしても取得しておくほうが面倒が生じにくいかもしれません。(ちょっと微妙なケースです)
4.日本国内で買い取った中古品を海外へ輸出する場合
輸入とは逆に、日本国内で買い取った中古品を海外へ輸出する場合、古物商許可はもちろん必要です。買い取る時点で取引相手が日本国内に居るので、日本の法律が適用されるケースです。
こちらも2番目と同様、一般的な古物商の業態になります。
中古品の輸出・輸入で迷ったとき
輸入と輸出に関しては、おそらく上記4通りのパターンいずれかに該当する場合がほとんどだと思います。もしどれにも当てはまらないと思われるときは、少し荒っぽいですが次のように考えてください。
まず、古物商が許可制になっている大きな理由のひとつは、犯罪(窃盗など)で手に入れた商品を買い取らないようにということです。窃盗犯から買い取ってしまうと、窃盗犯に利益を与えることになり、それが次の窃盗を生んでしまうなど、害が大きいからです。
そして、買い取る商品に国内で万が一にでも盗品が混じる可能性がある取引をするなら、予め古物商許可を取得しておく必要が生じます。
4つのパターンへの当てはめ
この考えで上記4パターンを見てみると、1つめの自分で海外で買い付けた中古品を国内で販売するパターンでは、海外で既に買い取っているわけですから、国内で盗品が混入する可能性がありません。従って、古物商許可は不要と考えます。
また2番目のパターンでは、日本国内の輸入業者が海外から仕入れて、その仕入れたものを日本国内で購入するという流れになります。すると、万が一の場合には、日本国内に輸入した後の商品が盗品と入れ替わったり、別の盗品が混じったりという可能性が考えられるため、予め古物商許可が必要となるわけです。
3番目のパターンは、中古品を購入する業者が海外にあり、そのまま国内へ発送してくるはずですから、日本国内で盗品が混入する可能性は(通常)考えられません。そのため古物商許可は不要であるはずですが、前述の通り、取引態様によって、警察署によって、判断が曖昧であるため予め確認しておくほうが無難なパターンになります。
4番目のパターンは、中古品を買い取る相手は日本国内におり、その買い取る商品が万が一にも盗品である(輸入業者の側で盗品が混入してしまう)可能性が生じますから、予め古物商許可を取得しておかなければなりません。
古物商許可の要否は管轄警察署や都道府県警などに確認を
以上4つのパターンにわけて説明しましたが、古物商許可が必要か不要かの判断で正確・確実なのは、営業所を設置する場所の管轄警察署や都道府県公安委員会に問い合わせることです。
また、買い取る面だけをピックアップしていますが、中古品を国内で販売する場面においても、古物商許可は必要となります。こちらも取引前にご不安に思われるなら、予め許可の要否を確認しておきましょう。
なお、当事務所の古物商許可の申請代行サービスをご利用頂く場合は、中古品輸出入の取引態様をヒアリングして、管轄警察署等にしっかり許可の要否を確認いたします。その点はご安心ください。